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納豆といえば、パックに入った糸を引く納豆を思い浮かべる人が多いですよね。でも、文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」を見ると、納豆類として6種類の納豆が収載されています。五斗納豆、塩納豆、寺納豆、干し納豆……名前は聞いたことがあっても、どんなものかは知らない、という人も多いのではないでしょうか。
この記事では、日本食品標準成分表(八訂)増補2023年の本表と、その説明(第3章の食品群別留意点)だけをもとに、6種類の納豆の違いを整理しました。
※成分値は可食部100gあたりの値です。実際の商品の成分は、商品ごとの栄養成分表示を確認してください。
納豆の種類の基本
日本食品標準成分表とは
成分表の説明によると、日本食品標準成分表は1950年(昭和25年)に初めて公表されて以降、食品成分に関する基礎データを提供する役割を果たしてきました。学校給食や病院給食などの給食管理、栄養指導はもとより、一般家庭の日常生活でも広く利用されている、とされています。
また、食品表示法に基づく加工食品の栄養成分表示制度では、表示を行う食品事業者が栄養成分を合理的に推定するための基礎データとして頻繁に利用されている、とも説明されています。
八訂増補2023年の収載食品数
成分表の説明では、日本食品標準成分表(八訂)増補2023年は2023年(令和5年)に公表され、収載食品数は2,538食品、成分項目数は54とされています。成分表は「我が国において常用される食品について標準的な成分値を収載するもの」で、原材料や加工方法によって成分値には幅がある、とも説明されています。
納豆類として載っている6種類
成分表では、「だいず」の中の[納豆類]として、次の6つが収載されています。
| 食品番号 | 食品名 |
|---|---|
| 04046 | 糸引き納豆 |
| 04047 | 挽きわり納豆 |
| 04048 | 五斗納豆 |
| 04114 | 塩納豆 |
| 04049 | 寺納豆 |
| 04115 | 干し納豆 |
6種類の納豆の違い
ここからは、成分表の説明をもとに、6種類の納豆を一つずつ見ていきます。
1. 糸引き納豆
成分表の説明では、「糸引き納豆」は、蒸煮した大豆を納豆菌で発酵させたもので、糸を引くのでこの名称で呼ばれている、とされています。市販品には「調味液(たれ)」や「からし」が付いた製品が多く、成分値は、たれやからしを除いた市販品の分析値などに基づいて決められています。
100gあたりのエネルギーは184kcal、たんぱく質は16.5g、食物繊維総量は9.5gです。
2. 挽きわり納豆
「挽きわり納豆」は「糸引き納豆」の一種です。成分表の説明によると、糸引き納豆が大豆の全粒を使うのに対して、挽きわり納豆は、大豆を割砕し、種皮を除いたものを原料にして製造します。
100gあたりのエネルギーは185kcal、たんぱく質は16.6gと、糸引き納豆とほぼ同じです。一方で、食物繊維総量は5.9gと、糸引き納豆の9.5gより少なくなっています。
3. 五斗納豆
成分表の説明では、「五斗納豆」は、糸引き納豆に米麹と食塩を加えて、発酵熟成させたものです。山形県米沢地方で古くから製造され、元来は挽きわり納豆を使用した、とされています。
食塩を加えているので、100gあたりの食塩相当量は5.8gです。
4. 塩納豆
「塩納豆」は、山形県庄内地方の伝統食品で、糸引き納豆に塩麹、切り昆布などを加えたもの、と説明されています。100gあたりのエネルギーは137kcal、食塩相当量は2.2gです。
5. 寺納豆
「寺納豆」は、別名「塩辛納豆」「浜納豆」とも呼ばれ、京都や浜松近辺の寺で造られていたもので、大徳寺納豆や浜納豆などの銘柄がある、と説明されています。大豆から麹を造り、塩水中に仕込み熟成させ、乾燥したものです。
成分表の説明では、製品の水分や食塩含量は銘柄ごとにかなり差異がみられる、とされています。成分表の値では、100gあたりの食塩相当量は14.2gと、6種類の中で最も高くなっています。
6. 干し納豆
「干し納豆」は、糸引き納豆に塩をまぶし乾燥したもので、十分に乾燥したものは保存性に優れる、と説明されています。水分が12.0gと少ないぶん、100gあたりのエネルギーは357kcal、たんぱく質は33.0gと、ほかの納豆より高い値になっています。
6種類のまとめ
| 種類 | 成分表の説明 | 地域・別名など |
|---|---|---|
| 1. 糸引き納豆 | 蒸煮した大豆を納豆菌で発酵 | たれ・からし付きの市販品が多い |
| 2. 挽きわり納豆 | 割砕して種皮を除いた大豆で製造 | 糸引き納豆の一種 |
| 3. 五斗納豆 | 糸引き納豆に米麹と食塩を加え発酵熟成 | 山形県米沢地方 |
| 4. 塩納豆 | 糸引き納豆に塩麹や切り昆布などを加える | 山形県庄内地方 |
| 5. 寺納豆 | 大豆の麹を塩水に仕込み熟成・乾燥 | 塩辛納豆、浜納豆 |
| 6. 干し納豆 | 糸引き納豆に塩をまぶし乾燥 | 保存性に優れる |
成分値を比べてみよう
主な成分(可食部100gあたり)
成分表の本表から、主な成分を並べてみます。
| 種類 | エネルギー | 水分 | たんぱく質 | 脂質 | 食物繊維総量 | 食塩相当量 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 糸引き納豆 | 184kcal | 59.5g | 16.5g | 10.0g | 9.5g | 0g |
| 挽きわり納豆 | 185kcal | 60.9g | 16.6g | 10.0g | 5.9g | 0g |
| 五斗納豆 | 214kcal | 45.8g | 15.3g | 8.1g | 4.9g | 5.8g |
| 塩納豆 | 137kcal | 64.0g | 8.3g | 4.4g | 6.0g | 2.2g |
| 寺納豆 | 248kcal | 24.4g | 18.6g | 8.1g | 7.6g | 14.2g |
| 干し納豆 | 357kcal | 12.0g | 33.0g | 16.8g | 17.2g | 5.1g |
糸引き納豆と挽きわり納豆を比べると
同じ「糸引き納豆」の仲間でも、成分値には違いがあります。成分表の値で比べると、次のとおりです。
| 成分(100gあたり) | 糸引き納豆 | 挽きわり納豆 |
|---|---|---|
| 食物繊維総量 | 9.5g | 5.9g |
| カルシウム | 90mg | 59mg |
| ビタミンK | 600µg | 930µg |
| ビタミンB1 | 0.07mg | 0.14mg |
| ビタミンB2 | 0.56mg | 0.36mg |
挽きわり納豆は種皮を除いた大豆を使う、という成分表の説明とあわせて見ると、数字の違いにも興味がわいてきますね。
食塩相当量の違い
糸引き納豆と挽きわり納豆は、たれやからしを除いた値なので、食塩相当量は0gです。実際に食べるときは、付属のたれの分が加わります。一方、五斗納豆、塩納豆、寺納豆、干し納豆は、作る過程で塩や塩麹を加えるため、納豆そのものに食塩相当量があります。特に寺納豆は100gあたり14.2gです。
ミネラルの値
| 種類 | カリウム | カルシウム | マグネシウム | 鉄 |
|---|---|---|---|---|
| 糸引き納豆 | 660mg | 90mg | 100mg | 3.3mg |
| 挽きわり納豆 | 700mg | 59mg | 88mg | 2.6mg |
| 五斗納豆 | 430mg | 49mg | 61mg | 2.2mg |
| 塩納豆 | 410mg | 48mg | 61mg | 1.3mg |
| 寺納豆 | 1000mg | 110mg | 140mg | 5.9mg |
| 干し納豆 | 1600mg | 190mg | 200mg | 5.8mg |
納豆のビタミンK
成分表でのビタミンKの説明
成分表の説明では、ビタミンKには、K1(フィロキノン)とK2(メナキノン類)があり、両者の生理活性はほぼ同等である、とされています。また、ビタミンKは血液凝固促進、骨の形成等に関与している、と説明されています。
納豆類はメナキノン-7を含む
成分表の説明によると、納豆類はビタミンKとしてメナキノン-7を含みます。糸引き納豆、挽きわり納豆、五斗納豆、寺納豆では、メナキノン-7を多量に含むため、メナキノン-7の含量に444.7/649.0を掛けてメナキノン-4に換算した値を、ビタミンKの値に合算している、とされています。
6種類のビタミンKの値
| 種類 | ビタミンK(100gあたり) |
|---|---|
| 糸引き納豆 | 600µg |
| 挽きわり納豆 | 930µg |
| 五斗納豆 | 590µg |
| 塩納豆 | 220µg |
| 寺納豆 | 190µg |
| 干し納豆 | 300µg |
※薬を飲んでいて食べ物に注意が必要な人は、医師や薬剤師の指示に従ってください。
納豆の種類のよくある質問
挽きわり納豆と糸引き納豆は別の食品?
成分表の説明では、挽きわり納豆は糸引き納豆の一種とされています。違いは原料で、糸引き納豆は大豆の全粒、挽きわり納豆は割砕して種皮を除いた大豆を使います。
1パック分だとどのくらい?
成分表の値は100gあたりなので、食べる量に合わせて計算します。たとえば糸引き納豆を40g食べる場合、エネルギーは184kcal×40÷100で約74kcal、たんぱく質は16.5g×40÷100で6.6gが目安になります(たれ・からしは含みません)。
寺納豆と浜納豆は同じもの?
成分表の説明では、寺納豆は別名「塩辛納豆」「浜納豆」とも呼ばれ、大徳寺納豆や浜納豆などの銘柄がある、とされています。糸を引く納豆とは作り方が違い、大豆から造った麹を塩水に仕込んで熟成させ、乾燥させたものです。
成分値はどうやって決めている?
成分表の説明によると、糸引き納豆は市販品の分析値や四訂成分表の収載値、文献値に基づいて、塩納豆や干し納豆は市販品の分析値に基づいて決められています。食品によって決め方が違うことも、説明の中で示されています。
同じ納豆でも成分が違うのはなぜ?
成分表の説明では、原材料的食品の成分値は、品種や成育環境などさまざまな要因でかなり変動があるのが普通で、加工品は原材料の配合割合や加工方法の違いによって製品の成分値に幅がある、とされています。成分表の値は「標準的な成分値」なので、手元の商品の成分は、パッケージの栄養成分表示もあわせて確認しましょう。
6種類の納豆の違いを知って選ぼう
最後に、ポイントをまとめます。
- 成分表には、糸引き・挽きわり・五斗・塩・寺・干しの6種類の納豆が載っている
- 挽きわり納豆は糸引き納豆の一種で、割砕して種皮を除いた大豆を使う
- 五斗納豆は山形県米沢地方、塩納豆は山形県庄内地方の伝統的な納豆
- 寺納豆は浜納豆とも呼ばれ、100gあたりの食塩相当量は14.2g
- 糸引き納豆の値は、たれやからしを除いたもの
いつもの納豆とは違う、地域の納豆を見かけたら、成分表の説明を思い出して味わってみてくださいね。